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何か唐突に書きたくなった、短編短編読みきり読み切り!
妖怪いいよね桜いいよね枝垂桜好きだよ!!

和風好きだー!!



ハラリ・・ハラリ・・と夜空に舞う、桜の花弁
もう花咲く季節でもないと言うのに、私の目の前で咲き乱れる枝垂桜
月明かりに照らされたその光景は、私の心を掴んで離してはくれない
・・・そして、もう1つ・・私の心をこの場に留める・・・あのお方

『・・・また来たのか、人の子よ』

不意に聞こえた、男の声
私のすぐ後ろに感じる、人のソレとは違う気配

《刻を訪わず、咲き乱れる枝垂桜の元には・・人を喰らう悪鬼がいる》

昔から聞いていた、その言葉
幼子に聞かせる寝物語と、私は思っていた
けれど、私は見てしまった
刻を訪わずに咲き乱れる枝垂桜の傍にいた・・・美しい鬼を

「・・・来ては、なりませんでしたか?」

振り返らずに、私はそう言った

『・・今度出逢えば逃しはせぬと、前にそう言ったはずだが・・』

その言葉と共に、後ろから伸びてきた両の手
耳元にかかる、吐息
視界の端に見える、夜風に靡く白桃の長い髪
前に見た時よりも・・近くに感じる鬼の気配

「・・逃げるなど、私には無理な話でございます」
『・・ほぉ・・潔いではないか・・』

見えもしないというのに、鬼がニヤリと笑ったのが手に取るように分かった
ゾクリと伝う、何か
コレは恐怖か・・それとも・・・

「・・あの日、貴方様を見初めたあの時より・・・私は捕らわれてしまった」

ゆっくり、振り返った
視界に映る、朱銀の瞳
まるで銀糸のような、白桃の長い髪
透き通った肌
私の心を捕らえて離さない、名も知らぬ鬼

『・・・鬼に恋慕の情を抱くか・・・酔狂な事よ・・』

そう言いながら、鬼は嗤う
優美で、妖艶な微笑
恐怖は微塵も感じはしない
否、最初から恐怖など感じてはいなかった
私が感じていたのは・・・

「綺麗・・・」

月明かりに花弁を散らす、あの枝垂桜を見た時も
その傍に佇む、彼の人を見た時も
私の心は、常にその言葉を紡いでいた

『綺麗、か・・・つくづく変わった娘御よ・・気に入った』

鬼は片手で私の顎を持ち上げると、そのまま・・・

闇ニ溺レヨ、人ノ子ヨ
共ニ堕チレバ貴様モ同ジ
サァ
今宵、コノ妖艶ナル月下ノ元デ
コノ枝垂桜ト同ジヨウニ
貴様モマタ、我ガ寵愛ヲ受ケルガイイ




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